「ルディーン君、一つ聞いてもいいかしら?」
僕がキャリーナ姉ちゃんと並んでプリンアラモードをおいしいおいしいって食べてたらね、アマンダさんが僕に話しかけてきたんだ。
「うん、いいよ」
「このアイスクリームってお菓子の事なんだけど、もしかしてこれ、何か他の味の物も作れるんじゃないの?」
これを聞いた僕は、すっごくびっくりしたんだよ。
だってさ、前の世界だと、アイスクリームにはいろんな味があったんだもん。
「すごいや! なんで解ったの?」
「やっぱり。それはね、このアイスクリームってお菓子が、おいしいわりに特徴が無さすぎると思ったからなのよ」
アマンダさんが言うにはね、おいしいって思うお菓子にはみんな、ここがいいって言えるとこがあるんだって。
でもこのアイスクリームにはそれが無かったから、もしかしてって思ったそうなんだよ。
「例えばこのプリンだけど、卵と牛乳の柔らかな風味を下に入れられた焦がしたお砂糖の苦味が引き立てているわよね。でもこのアイスクリームにはこの焦がした砂糖に当たるものが無かったから、もしかしたら何かが足らない、もしくは何かを入れたりかけたりして食べる事を想定されたお菓子なんじゃないかなと思ったのよ」
アマンダさん、そんなことまで解っちゃうなんてほんとすごいなぁ。。
僕が前の世界にあったおもちゃで作ってたアイスクリームにはね、今使ってる材料の他にバニラってのが入ってたんだ。
それはすっごくいいにおいのする粒々だったんだけど、でもそんなのここにはないから入れようがないもん。
だから僕の作ったアイスクリームには入ってないんだけど、アマンダさんはお菓子職人さんだから、そのバニラが入ってないアイスクリームを食べて、いいにおいのするもんが入ってないのはおかしいって感じたみたいなんだ。
「そっか、このアイスクリーム。おいしいにおいがするもんが入ってないもんね。だから他になんか入れるって解ったのか」
「におい? ああ、なるほど。確かに何かしらの香りがするものが入っていたら、それがアクセントになっていたでしょうね」
アマンダさんはね、僕がにおいの事を言ったもんだから、何が足らないのか解ったんだって。
でもさ、じゃあ何でなんかを入れるとおいしくなるって解ったんだろう?
そう思った僕は、アマンダさんに何で? って聞いてみたんだよ。
そしたらさ、意外な答えが返ってきたんだ。
「最初に食べた時にね、パンケーキと同じように、このアイスクリームもお菓子の元となるものなのかと思ったのよ」
「元になるもの?」
「ええ。これも味の土台となる芯はちゃんとあるけど余分な味や香りがついていないから、いろいろなものを合わせられそうでしょ?」
パンケーキってあんまり味がついてないから、上に生クリームをのっけたり、はちみつをかけたりするでしょ?
アマンダさんはそれとおんなじで、このアイスクリームにいろんな味がしないのは何かを混ぜたりかけたりするためなんじゃないかなって思ったんだってさ。
「うん。あのね、このアイスクリームって、作る時につぶした果物とかを入れて作ってもおいしいんだよ。それにね、甘い物とかちょっと苦いものをかけてもおいしいんだ」
「やっぱりそうなのね。それでルディーン君は、どんなものを混ぜたらいいと思う?」
「う〜ん、そうだなぁ」
僕がいろんな味のアイスクリームが作れるんだよって教えてあげると、アマンダさんはそうなんだねって言って早速何を混ぜたらいいのかなぁって聞いてきたんだ。
だから何がいいかなぁって考えたんだけど、
「これは絶対おいしいと思うんだけど、ダメだよなぁ」
一番最初に思いついたやつは、絶対使えないものだったんだ。
「ダメって、何を思いついたの?」
「あのね、さっきロルフさんちの料理長さんにクイーンベリーってのを教えてもらったって言ったでしょ? あれを入れたら絶対においしくなるって思ったんだよね」
クイーンベリーって、前の世界にあったイチゴにそっくりでしょ?
イチゴのアイスクリームはとってもおいしかったから、クイーンベリーでアイスクリームを作ったら絶対おいしいと思うんだよね。
でもさ、さっきアマンダさんがクイーンベリーはとっても高いから使えないよって言ってたでしょ?
だから僕、クイーンベリーはダメって思ったんだ。
「クイーンベリーか。確かにあれを使えばとてもおいしいものができると思うけど……流石に使えないわね」
「やっぱりかぁ」
アマンダさんもクイーンベリーだったらきっとおいしいアイスクリームができるって言ってくれたんだけど、やっぱり使うのは無理だよねって。
だから他になんかいいのは無いかなぁって考えてたんだけど、そしたらキャリーナ姉ちゃんがこんな事を言い出したんだ。
「ルディーン、ベニオウの実は? あれもアイスクリームに入れたら絶対おいしいはずだよ」
「そっか! ベニオウの実だったらおいしいのが作れるよね」
ベニオウの実って、前の世界にあったももって果物によく似てるんだよね。
その桃もアイスクリームにしたらおいしかったもん。
だからそれがいいって思ったんだけど、
「ねぇ、ルディーン君。ベニオウの実がいくらするか知ってる?」
「あっ、そっか。ベニオウの実って1個銀貨2枚もするんだっけ」
この頃は森に採りに行ったのを食べてるから忘れてたけど、そう言えば最初に買ってもらった時はすっごく高くってびっくりしたんだっけ。
そりゃクイーンベリーに比べたら安いだろうけど、どかの果物よりもすっごく高いから気楽に使えるものじゃないよね。
「それに、キャリーナちゃんが言っているのは、ルディーン君が森で獲ってきたベニオウの実の事でしょ? ルルモアさんが探しても取りに行ってくれる人が見つからない果物なんて、そもそも手に入らないわよ」
「そっか、一度食べてみたいなぁって言うだけなら簡単だけど、いつもは買えないんだからダメだよね」
そう思った僕は、刃かになんかないかなぁって考え始めたんだよ。
でもそんな僕に、キャリーナ姉ちゃんがなんでダメなの? って聞いてきたんだ。
「アイスクリームは、ルディーンの魔道具が無いと作れないんだよね? だったらルディーンがいない時の事なんか考えなくてもいいんじゃないの?」
「そう言えば、そっか」
アイスクリームは魔道具が無いと作れないお菓子だもんね。
その魔道具は僕が持ってるんだから、アイスクリームを作る時は僕がいるって事だもん。
それならベニオウの実でもいいじゃないかって僕も思ったんだよ。
でもね、
「あら。多分だけどこのアイスクリーム、そのかき混ぜながら凍らせる魔道具が無くても作る事ができると思うわよ」
アマンダさんが魔道具なんてなくてもアイスクリームは作れると思うよなんて言い出したもんだから、僕とキャリーナ姉ちゃんはすっごくびっくりしたんだ。
読んで頂いてありがとうございます。
アマンダさん、爆弾発言です。
まぁ、そもそもその方法にあてが無ければ、アイスクリームに何を入れたらおいしくなるかなんて考え始める訳が無いんですけどね。
さて、今週末なんですが、仕事ではありませんが土曜と日曜、二日とも出かける用事ができてしまいました。
流石に金曜日一日で書き上げる事はできないのですみませんが月曜日の更新はお休みさせて頂き、次回は来週の金曜日になります。